この記事では、第一三共(証券コード4568)の株への投資を検討している方に向けて、同社の強み・弱みと将来性を、ADC(抗体薬物複合体)技術を軸とした収益構造から解説します。
著者について:個人で投資・企業分析を継続するブログ運営者が執筆しています。決算短信・有価証券報告書など一次情報を読む分析スタイルで、特定銘柄の投資推奨はしていません。
「日本の製薬会社は世界では存在感がない」——そう言われていた時代は、ここ数年で大きく塗り替わりました。第一三共は英アストラゼネカ、米メルクといった世界トップクラスの製薬大手と、最大1兆円超とも報じられる大型ライセンス契約を相次いで締結しています。
その核心にあるのが「ADC(抗体薬物複合体)」と呼ばれる、がん細胞だけを狙い撃ちにする次世代抗がん剤の技術です。本記事では、第一三共のビジネスモデル・財務・強み・弱み・株主還元・同業比較・将来性までを、長期投資の視点で網羅的に整理していきます。
はじめに
この記事の対象読者
- 第一三共(4568)の株を新NISAや長期投資で検討している方
- ADC・抗がん剤というテーマに興味があるが、ビジネス構造がよく分からない方
- 日本の製薬株を1銘柄ポートフォリオに加えたい方
この記事でわかること
- 第一三共の事業内容と収益構造(ADC・Enhertu中心の稼ぎ方)
- なぜ世界の製薬大手が「第一三共からライセンスを受けたい」と並ぶのか
- 投資家として押さえておくべき短期・長期のリスク
- 株主還元・配当の方針と推移
- 武田薬品・アステラス製薬など同業との比較ポジション
結論サマリー
第一三共は「ADC技術を軸に総合製薬からがん特化グローバル企業へ脱皮中」の銘柄で、5〜10年スパンで日本発の創薬プラットフォームに投資したい長期投資家との相性が良い一方、短期値上がり益・高配当インカム狙いには向きません。
参照した情報源
本記事は以下の一次情報を中心に作成しています。
- 第一三共 2025年3月期 決算短信・有価証券報告書
- 第一三共 「5カ年経営計画 2025」関連IR資料
- アストラゼネカ・メルク両社との提携に関する公表プレスリリース
- 厚生労働省・PMDA(医薬品医療機器総合機構)の公開情報
最終更新日
2026-06-16
企業概要:この会社、何をしてる?
第一三共は、医療用医薬品の研究・開発・製造・販売を行う日本の大手製薬企業です。本社は東京都中央区、証券コードは4568、東証プライム市場に上場しています。
もともとは「第一製薬」と「三共」という別々の老舗製薬会社が2005年に経営統合して誕生しました。高血圧薬・抗菌薬・ワクチンなどを幅広く手がける「総合製薬」が長年の姿でしたが、2020年代に入って大胆な変身を遂げています。収益性の低い事業を切り離し、抗がん剤領域へ経営資源を一点集中する「がん特化型グローバル製薬企業」への転換が、いま進行中の最大の経営テーマです。
主要な治療領域は、がん(オンコロジー)・心血管代謝・中枢神経系・希少疾患など。なかでも近年は「ADC(抗体薬物複合体)」と呼ばれる次世代型の抗がん剤群が事業の主役に躍り出ました。
基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商号 | 第一三共株式会社 |
| 証券コード | 4568(東証プライム) |
| 設立 | 2005年9月(第一製薬と三共の経営統合) |
| 本社所在地 | 東京都中央区日本橋本町3-5-1 |
| 主要事業 | 医療用医薬品(がん領域・循環器・希少疾患ほか) |
| 売上規模 | 1兆7,000億円超(2025年3月期実績) |
| 従業員数 | 連結約18,000名 |
| 主要市場 | 日本・米国・欧州・アジア |
※ 出典:第一三共 2025年3月期 決算短信・有価証券報告書
売っている相手は誰か
最終的なエンドユーザーは世界中の患者ですが、ビジネス上の主な取引相手は医療機関・医薬品卸・各国の公的医療保険制度です。これに加えて近年はアストラゼネカ・メルクといった海外の製薬大手そのものが「ライセンス契約相手」という大口顧客になっています。日本企業が開発した薬を、外資の世界販売網に乗せて売ってもらう構図ができつつある点が、ここ数年の大きな変化です。
収益構造:どこで稼いでいる?
第一三共の収益の中心にあるのが、ADC(抗体薬物複合体)プラットフォーム、なかでもEnhertu(エンハーツ)を中核とするオンコロジー事業です。
ADCをかみ砕いて言うと「がん細胞だけを狙い撃ちにするミサイル型の薬」です。従来の抗がん剤は、がん細胞も正常細胞もまとめて攻撃してしまうため、脱毛・吐き気・免疫低下などの重い副作用が避けられませんでした。これに対しADCは、がん細胞表面のタンパク質に結びつく「抗体」に強力な抗がん剤(ペイロード)を結合させた構造で、正常細胞へのダメージを抑えつつ、がん細胞だけを高精度で叩きにいきます。
売上の柱はEnhertu
代表的なADCがEnhertuで、HER2陽性乳がん・HER2低発現乳がん・HER2発現胃がん・HER2変異非小細胞肺がんなど、複数のがん種で標準治療を上回る治療成績が相次いで報告されています。Enhertuはアストラゼネカと共同で世界販売されており、グローバルでの売上規模は数千億円規模に達していると報じられています。
「自社販売」と「ライセンス収入」のハイブリッド
第一三共の収益構造で見落とされがちなのが、「薬を自社で売って稼ぐ」だけでなく、「他社にADCの権利を貸して稼ぐ」二段構えになっている点です。
アストラゼネカやメルクとの大型契約には、典型的に次のような収入源が組み込まれています。
- 契約一時金:契約時に一括で支払われるまとまった金額(数百〜数千億円規模)
- 開発マイルストーン:特定の開発フェーズや承認を達成するごとに支払われる報奨金
- 販売ロイヤルティ:販売額に応じて売上の一定割合が継続的に入る仕組み
- 利益折半契約:販売地域によっては利益そのものをパートナーと折半する形
つまり、Enhertuがアストラゼネカの販売網を通じて世界中で売れるたびに、第一三共には自動的にロイヤルティが積み上がっていく構造です。「一発当てて終わり」ではなく、「当てた一発が、毎年お金を運んでくる」モデルになっています。
セグメント別の利益構造
セグメント別では、近年はオンコロジー(がん領域)の売上構成比が急速に上昇しており、グループ全体の利益を牽引しています。一方、循環器・代謝領域などの既存薬は特許切れによってジェネリック医薬品との競合にさらされ、収益貢献が縮小しつつあります。中期的には「Enhertuと次世代ADCがどこまで成熟領域の縮小を吸収できるか」が、業績の総合的な振れ幅を決める構図です。
意外なポイントとしては、Enhertu単体だけでなく、「DXdペイロードを使った後続ADCのライセンス収入」も既に収益化が始まっていることです。次の項で触れるように、第一三共は単発の薬ではなく、薬を生み出すプラットフォームそのものを商品化しています。
強み・競合優位性:なぜこの企業は強い?
強み① 世界が真似できないペイロード「DXd」
ADCは「抗体」「リンカー(つなぎ目)」「ペイロード(毒素)」の3要素で構成されますが、薬の効き目と安全性を最も大きく左右するのがペイロードの設計です。第一三共が独自開発した「DXd」というペイロードは、がん細胞への殺傷力が強く、隣接するがん細胞にも波及してダメージを与える「バイスタンダー効果」を持っています。Enhertuの治療成績が群を抜いている理由の一つが、このDXdの設計にあると報じられています。
ADCというコンセプト自体は世界中の製薬会社が研究していますが、「第一三共クオリティ」を再現できる企業は限られているのが現状です。だからこそ、自社でゼロから開発するより「第一三共からライセンスを受けた方が早い」と判断する大手が次々に出てきている——この構図が、競合参入を難しくする見えない壁になっています。
強み② ADCプラットフォームによる「連続新薬」体制
第一三共の本当の強みは、個別の薬ではなく「DXdを共通エンジンにして抗体だけを差し替え、複数のがん種に当てる候補品を量産できる」プラットフォーム構造にあります。
製薬の世界では「現在の売上」より「将来生まれる薬の卵(パイプライン)」のほうが企業価値を左右します。Enhertuの後続として、肺がん・大腸がんなど別のがん種を狙うADC候補が複数臨床試験に入っており、同じ仕組みから次々に開発候補が出てくる体制ができ上がっています。
これは、医薬品メーカーというより「ADCプラットフォーマー」に近い立ち位置で、自動車メーカーが共通プラットフォームから複数車種を出すのに近い発想です。
強み③ アストラゼネカ・メルクとの世界販売ネットワーク
新薬を世界で売るには、現地の規制対応・販売員・流通網が不可欠で、一企業がゼロから整備するには莫大なコストと時間がかかります。第一三共はアストラゼネカ・メルクとの大型提携によって、自社だけでは届けられない地域・診療科にまで一気にリーチを伸ばせる体制を確保しました。
開発費・販売費を分担しながら世界市場を取りに行けるため、「自社単独では難しいスケール」をパートナーごと取りに行ける点も、他の日本製薬には簡単に真似できない優位性です。
弱み・リスク・課題
第一三共は構造的に強い銘柄ですが、製薬株特有の弱みと不確実性は無視できません。投資判断では強みと同じ重みで弱みを把握しておく必要があります。短期と長期に分けて整理します。
弱み①:業績の変動が大きく読みにくい(短期リスク)
臨床試験の結果リスク
製薬株はPhase3(後期臨床試験)の結果発表というイベントで株価が大きく動きやすい性格があります。有望と見られていた薬が想定外の副作用や効果不足で失敗するケースは珍しくなく、決算サプライズより治験結果のニュースで上下することの方が多いと言ってもいいくらいです。
Enhertuの追加適応や次世代ADCの試験結果次第で、業績見通しが一気に書き換わる可能性がある点は、覚悟しておく必要があります。
為替・米国薬価制度の影響
第一三共は海外売上比率が高く、円高・円安の影響を直接受けます。また米国では薬価制度の改革議論が継続しており、Enhertuのような高額薬剤は価格交渉の対象になりやすい立場です。米国の薬価引き下げ圧力は、ロイヤルティ収入の伸び率を抑える方向に効きます。
業績の「契約一時金」依存
大型契約のニュースで一気に話題になる契約一時金は、基本的に一時的な収入です。単年度の決算が派手に見える年と地味に見える年で大きく変動するため、業績の表面だけ見て評価すると判断を誤りやすい銘柄でもあります。長期投資家が見るべきは、ロイヤルティの基礎収益がどう積み上がっているかです。
弱み②:特定技術・特定提携への依存度が高い(長期リスク)
競合ADCの追い上げ
ADC市場には世界中の製薬大手が巨額を投じています。ロシュ、ファイザー、ギリアド、メルク(自社開発分)など、ADC領域に張っている競合は多く、第一三共より優れた成績を出す競合薬が登場すれば、Enhertuの市場シェアが侵食される可能性は常にあります。中国の新興バイオ企業も独自ADCの開発を加速しており、長期的にはペイロード技術の競争激化が見込まれます。
特許切れ・パテントクリフ
製薬会社の主力薬には特許期間(通常20年程度)があり、期限が切れるとジェネリック医薬品やバイオシミラーに市場を奪われます。Enhertuも長期的には特許切れを迎える日が来るため、それまでに次世代品(DXd後続ADCや別ペイロード品)をどこまで育てられるかが、10年スパンでの最重要テーマです。
経営資源の一点集中リスク
がん領域への一点集中は強みである一方、仮にADCというモダリティ(治療様式)自体が他技術に置き換わった場合のダメージは大きいという弱さも持ち合わせます。例えば、mRNAがん治療や新世代の細胞治療など、ADCの優位性を相対的に下げる技術が台頭してきた場合、シフトの遅れは命取りになります。
株主還元・配当
第一三共は研究開発に重い投資を続ける成長フェーズの企業であり、典型的な「高配当ディフェンシブ株」とは性格が異なります。それでも、株主還元への姿勢は明確で、累進的な配当政策とのバランスが意識されています。
配当の基本方針
第一三共は中期経営計画の中で、安定的かつ持続的な配当の実施と機動的な自社株買いを組み合わせる方針を掲げています。配当性向よりも「DOE(株主資本配当率)」を意識した運営が特徴で、利益のブレに左右されすぎず、安定的な配当を出し続ける姿勢です。
配当推移の概観
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配当方針 | 累進配当・DOE重視 |
| 配当利回り(参考水準) | 概ね2%前後(株価水準で変動) |
| 自社株買い | 中期計画期間中に機動的に実施 |
| 株主優待 | なし |
※ 出典:第一三共 2025年3月期 決算短信・株主還元方針資料。最新の確定額は公式IRをご確認ください。
「インカム狙いの本命」とは言いにくい配当水準ですが、成長投資と配当のバランスを意識する銘柄として整理しておくのが妥当です。配当そのものを目当てに買う銘柄ではなく、「成長への再投資余地が残っている中で、それでも配当は出してくれている」と捉えるのが実態に近い読み方です。
将来性・今後の展望
第一三共の中期経営計画(5カ年経営計画 2025)では、「がん事業のグローバル成長」と「DXdプラットフォームの拡張」が主要テーマとして掲げられています。
成長ドライバー① Enhertuの適応拡大
Enhertuは現在、乳がん・胃がん・肺がんなどへ適応疾患を順次広げています。HER2というターゲット自体がさまざまな臓器のがんで発現するため、承認対象が増えるたびに薬の市場規模は階段状に拡大していきます。今後数年の臨床試験読み出しは、第一三共の業績見通しを大きく左右するイベント群です。
成長ドライバー② DXd後続ADCのパイプライン
DXdペイロードを軸にした次世代ADC候補(HER3標的のパトリツマブ デルクステカン、TROP2標的のダトポタマブ デルクステカンなど)が、複数臨床試験のフェーズで進行しています。「Enhertuの次」をどれだけ太い柱に育てられるかが、5〜10年の企業価値を決める要素です。
成長ドライバー③ 新モダリティ・新領域の探索
ADCに続く創薬モダリティ(核酸医薬・細胞治療・遺伝子治療など)への投資・提携も拡大しています。「DXdに依存しすぎない次世代柱」を育てる動きは、長期リスクへの保険として注視すべきポイントです。
注目イベント
- 各種ADCのPhase3結果発表(適応症ごとに順次)
- 米国・欧州での新規承認取得
- 中期経営計画の進捗アップデート(IR Day・決算説明会)
- 米国薬価制度の動向
中期経営計画ベースで考えると、Enhertuと後続ADCがどこまで売上を伸ばし、循環器・代謝など旧主力の特許切れ穴をどこまで埋められるか——この「攻めの成長」と「守りの縮小」の差し引きが、業績拡大ペースを決める構図になります。
同業他社との比較
日本の大手製薬の中で、第一三共のポジションを整理しておきます。比較対象として、売上規模で並ぶ武田薬品工業(4502)と、がん領域に強みを持つアステラス製薬(4503)を取り上げます。
| 項目 | 第一三共(4568) | 武田薬品工業(4502) | アステラス製薬(4503) |
|---|---|---|---|
| 売上規模(連結) | 約1.7兆円規模 | 約4兆円規模(最大手) | 約1.6兆円規模 |
| 主要領域 | がん(ADC中心) | 消化器・希少疾患・神経 | がん・移植・泌尿器 |
| 海外売上比率 | 高い(米国中心) | 非常に高い(M&Aで拡大) | 高い(米欧中心) |
| 強みの源泉 | DXdペイロード・ADC技術 | グローバル販売網・大型買収 | XTANDIなど主力薬 |
| 株主還元の性格 | 成長投資+安定配当 | 高配当寄り | 高配当寄り |
| 主なリスク | 競合ADC・治験結果 | のれん償却・有利子負債 | 主力薬の特許切れ |
※ 出典:各社 2025年3月期 決算短信・有価証券報告書。数値は概算であり最新値は各社公式IRをご参照ください。
各社の立ち位置を1行で
- 第一三共:ADCプラットフォームで世界の製薬大手を巻き込む「日本発のがん特化グローバル企業」
- 武田薬品:M&Aで世界規模を獲得した「日本最大の総合バイオ製薬」、配当インカム派が選びやすい
- アステラス製薬:主力薬の特許切れに直面しつつ、後継パイプラインで巻き返しを図る「がん・移植領域の中堅グローバル」
「成長性とプラットフォーム価値」を重視するなら第一三共、「規模とインカム」を重視するなら武田、「割安修正・パイプライン復活」に賭けるならアステラスといった整理になりやすい構図です。
日本の製薬セクター全体(武田・第一三共・中外・アステラスなど)を横断的に比較した記事は【製薬株まとめ】日米ヘルスケアセクター7社を徹底比較をあわせてご参照ください。また、がん治療薬を軸とする競合として【企業分析】アステラス製薬の強み・弱みと将来性も参考になります。
どういう人が向いてる?/どういう人はやめておいた方がいい?
向いてる人
5〜10年スパンの長期投資家
Enhertuの適応拡大やDXd後続ADCの開発は、四半期単位ではなく年単位で結果が出てくるテーマです。短期の値動きより、技術の積み上がりが企業価値を押し上げていく過程に乗りたい方と相性が良い銘柄です。
構造・プラットフォーム重視派
「流行りのテーマ株」ではなく、「DXdというペイロードを連続活用できるビジネス構造」に納得して持ちたい方には、説明のつく投資対象として位置付けやすい銘柄です。
日本株ポートフォリオにグロース要素を加えたい人
ディフェンシブ寄り・高配当寄りに偏った日本株ポートフォリオに、「技術ドリブンの成長銘柄」を1本足したい方にとっては、候補として検討しやすい立ち位置です。
向いてない人
短期で値上がり益を狙いたい人
製薬株は治験結果ニュースで上下しやすく、サプライズが買い側にも売り側にも振れます。短期売買のリズムとは噛み合いにくい性格です。
高配当インカムを主目的にする人
第一三共は研究開発に重い投資を続けるフェーズにあり、配当を厚くしてくれるタイプの銘柄ではありません。高配当の主力枠に据えるより、成長枠に組み入れて配当はおまけと割り切るのが性格に合います。
業績の凸凹に耐えたくない人
契約一時金・治験結果・為替・薬価制度など、業績変動要因が多い銘柄です。「四半期ごとに穏やかに伸びる」タイプを期待する方には、心理的に持ちにくい銘柄かもしれません。
「絶対買え」「絶対やめておけ」という話ではなく、自分の投資スタイルと銘柄性格の相性を踏まえて、ポートフォリオ全体での組み入れ比率を考えるのが現実的です。
よくある質問(FAQ)
Q. 第一三共の株は新NISAで購入できますか?
A. はい、第一三共(4568)の株式は新NISAの成長投資枠で購入可能です。東証プライム上場の大型株であり、長期投資の候補として検討されることが多い銘柄です。最新の対象銘柄一覧は、ご利用の証券会社サイトでご確認ください。
Q. 配当利回りはどのくらいですか?
A. 株価水準により変動しますが、概ね2%前後で推移してきました。「累進配当・DOE重視」の方針を掲げており、利益のブレに左右されすぎず安定的な配当を出す姿勢ですが、典型的な高配当株ではありません。最新の配当予想は公式IRページをご参照ください。
Q. 第一三共とアストラゼネカはどういう関係ですか?
A. アストラゼネカは英国の世界大手製薬で、Enhertuの共同開発・共同販売パートナーです。第一三共が独自開発したADCの世界販売権の一部をアストラゼネカに供与し、両社で利益を分け合う契約構造になっています。アストラゼネカの世界販売網を活用することで、自社単独では難しいスケールで薬を届けられるのが提携のメリットです。
Q. 「ADC」とは何の略ですか?普通の抗がん剤と何が違うのですか?
A. ADCは「Antibody-Drug Conjugate(抗体薬物複合体)」の略です。従来の抗がん剤が正常細胞も含めて広く攻撃するのに対し、ADCはがん細胞表面のタンパク質にだけ結びつく抗体に強力な抗がん剤を結合させ、がん細胞だけを集中攻撃します。副作用を抑えつつ高い殺傷力を発揮できる点が革新的だとされています。
Q. 第一三共と武田薬品、どちらに投資するのがおすすめですか?
A. 一概にどちらが「おすすめ」とは言えません。成長性とプラットフォーム価値を重視するなら第一三共、規模と配当インカムを重視するなら武田薬品、という整理が一般的です。武田は世界規模・高配当寄り、第一三共はADC技術ドリブンの成長寄りという性格の違いがあり、ポートフォリオ全体の目的と相性で判断するのが現実的です。
Q. 製薬株はリスクが大きいと聞きますが、第一三共はどうですか?
A. 製薬株共通のリスクとして、臨床試験の結果リスク・特許切れリスク・薬価制度リスクは第一三共にも当てはまります。加えてADC領域は世界の製薬大手が参入する競争領域です。一方で、DXdというペイロードを軸に複数の候補品を量産できるプラットフォーム構造を持っており、「単一薬依存度」は同業の中では相対的に分散が効いている方と整理できます。
Q. 第一三共はESG・サステナビリティ面ではどう評価されていますか?
A. 第一三共は患者アクセス改善・医薬品安定供給・気候変動対応などのサステナビリティ施策を中期経営計画に組み込んでいると公表しています。各種ESG評価機関のスコアは年により変動するため、最新の評価は同社サステナビリティレポート・公式IRページをご確認ください。
まとめ
第一三共を一言で言うなら、「日本発のADC技術で、世界の抗がん剤市場を構造から書き換えに行く会社」です。
強みは明確です。独自ペイロードDXdを軸としたADCプラットフォームは世界でも再現が難しく、Enhertuという主力薬の裏で「次世代ADC候補」を連続的に量産できる仕組みが育っています。アストラゼネカ・メルクとの大型提携によって自社単独では届かない世界市場へのリーチも確保されています。
弱みも直視する必要があります。業績は臨床試験の結果や契約一時金の有無で年ごとに大きくブレます。Enhertu・DXdへの依存度が高く、競合ADCが台頭したり、ADCというモダリティ自体が別技術に置き換わるリスクは長期的に存在します。特許切れへの備えとして次世代パイプラインをどこまで育てられるかも課題です。
将来性については、Enhertuの適応拡大・DXd後続ADCのパイプライン・新モダリティへの投資が今後数年の成長ドライバーになります。ただし、これらは四半期単位ではなく年単位で結果が出るテーマです。
相性が良いのは、「日本企業が世界の医療を変える流れに5〜10年単位で乗りたい長期投資家」。逆に、短期で値上がりを狙いたい派・高配当インカム派・業績の凸凹に耐えたくない派には、別の銘柄の方が落ち着いて持てるはずです。
実際に買うかどうかを決める前に、割安・割高を測る基本指標(PER・PBR・ROE)で現在の株価水準もあわせて確認してみてください。
情報源・参考資料
本記事の作成にあたって参照した一次情報・二次情報を以下に整理します。最新値・最新方針は、必ず公式IR情報をご確認ください。
- 第一三共 2025年3月期 決算短信
- 第一三共 有価証券報告書
- 第一三共 5カ年経営計画 2025 関連IR資料
- 第一三共 株主還元方針・中期経営計画資料
- アストラゼネカとの提携に関する公表プレスリリース
- メルク社(MSD)との提携に関する公表プレスリリース
- 武田薬品工業・アステラス製薬の2025年3月期 決算短信
- 厚生労働省・PMDA(医薬品医療機器総合機構)の公開情報
- 各種医療系学会のEnhertu関連 臨床試験報告
最終更新日:2026-06-16 / 次回見直し:四半期ごと
※特定銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。投資判断に迷う際はFP・証券会社等の専門家にご相談ください。
免責事項
※本記事は「企業分析」を目的とした内容であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。 ※投資は自己責任でお願いします。 ※掲載情報は作成時点のものであり、最新情報は各社の公式IR情報をご確認ください。