新NISAで高配当株を始めたい方に向け、三菱UFJフィナンシャルグループ・KDDI・東京海上ホールディングス・ソフトバンクの4社を「なぜ配当を出し続けられるのか」という視点で比較します。配当利回りだけでなく、ビジネスの安定性とリスクを理解することが長期投資の第一歩です。


新NISAを始めたばかりの人が最初に気になるのが「高配当株」ではないでしょうか。

株価の上昇を待つよりも、毎年配当金が入ってくる安心感。銀行に預けていても金利はほぼゼロの時代、配当利回り3〜5%の日本株は魅力的に映ります。

でも「高配当」と呼ばれる銘柄にも、実は中身に大きな差があります。「なぜ配当を出し続けられるのか」「どんなリスクがあるのか」——この視点なしに銘柄を選ぶのは、ちょっと危険です。

今回は三菱UFJフィナンシャルグループ・KDDI・東京海上ホールディングス・ソフトバンクの4社を比較しながら、高配当日本株の選び方を考えてみます。より多くの候補から比べたい方は高配当株ランキング2026年版、「配当でもらうか・成長で増やすか」で迷っている方は成長株と高配当株の違いもあわせて読むと、自分に合うスタイルが見えてきます。


4社の配当利回りと連続増配を整理する

まず基本データから確認しましょう。

三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)は、年間配当74円(2026年3月期予想)で、配当性向40%を基準に増配方針を維持しています。2020年頃は年25円程度だったものが、今や74円まで増加。過去5年の株価上昇率は約5.8倍と、同じメガバンクの三井住友・みずほを上回っています。

KDDIは、20年以上の連続増配という実績を持つ高配当株の代表格です。通信という「毎月必ず使うインフラ」からの安定収入が、配当の原資になっています。

東京海上ホールディングスは、過去10年で株価が10倍以上になった銘柄でありながら、配当も増え続けています。政策保有株(持ち合い株式)の縮減により得たキャッシュを、増配と自社株買いに回す姿勢が評価されています。

ソフトバンク(9434)は、日本最大級のQR決済「PayPay」を中核に据えたデジタルエコシステムを展開しており、通信事業の安定キャッシュフローを背景に配当利回り約5〜6%を維持しています。スマホ通信・PayPay・ヤフー・LINEという3つのインフラを同時に持ち、景気変動に強い収益構造が高配当の原資になっています。


ビジネスの安定性で比較する

高配当株を選ぶうえで大切なのは、「この会社は10年後も今と同じように稼げているか」という問いです。

MUFGの安定性は、日本最大の金融グループという規模と、総資産418兆円(日本のGDPに匹敵)という圧倒的な基盤が支えています。大企業のメインバンクとして深く入り込んでおり、簡単には乗り換えられない。これが安定性の根拠です。

加えて今は「追い風の時代」に入っています。日本銀行が長年のゼロ金利・マイナス金利を解除し、金利が上昇方向に転じました。金利が上がると銀行の「利ざや(貸し出し金利と預金金利の差額)」が拡大し、収益が増えます。政策金利が0.1%上がるだけでMUFGグループ全体で数百億円の収益改善になると試算されており、金利正常化のトレンドが続く間は追い風が続きます。

KDDIの安定性の根拠は、通信という「やめられないインフラ」にあります。毎月スマホ代を払うことをやめる人は、ほとんどいません。その安定した収入に加え、auじぶん銀行・au PAY・au電気という「生活全般の囲い込み」で一人当たりの収益を着実に増やしています。20年以上の連続増配は、このビジネス構造の安定性の証明です。

東京海上HDの安定性は、保険ビジネス特有の「フロート」という仕組みにあります。保険料を受け取ってから保険金を払うまでの間に資金を運用できる——これはバフェットがバークシャー・ハサウェイで保険会社を保有し続ける理由でもあります。国内の自動車保険・火災保険という安定した基盤に、米国・欧州・アジアへの海外展開が加わり、景気変動に左右されにくい収益構造を持っています。

ソフトバンクの安定性は、通信という「やめられないインフラ」と、PayPayエコシステムの強固な結びつきにあります。スマホ通信は電気・ガス・水道と同様の生活必需品であり、景気が悪化しても解約する人は極めて少ない。さらに、PayPay(月間利用者6,500万人超)・ヤフー・LINEが相互に連携し、ユーザーをグループ内に囲い込む構造が出来上がっています。


4社のリスクを比較する

安定しているとはいえ、それぞれにリスクはあります。

MUFGの最大リスクは、景気悪化による不良債権の増加と、金利が再び下がるシナリオです。今は金利正常化が追い風ですが、日銀の政策次第でこのトレンドが変わる可能性はゼロではありません。また長期国債の保有が多いため、金利が急上昇すると保有国債の評価額が下がるリスクもあります。

KDDIの最大リスクは、通信料金の値下げ圧力と競争激化です。楽天モバイルの参入や政府の値下げ誘導により、通信ARPUの低下が続いています。また2022年の大規模通信障害(約3,589万回線に影響)はブランドへのダメージもありました。

東京海上HDの最大リスクは、巨大自然災害です。地震・台風・洪水といった大規模災害が発生すると、単年の保険金支払いが急増し業績を直撃します。気候変動による災害の頻度・規模の増大は、長期的なリスク要因です。

ソフトバンクのリスクは、通信料金の値下げ圧力と競争激化です。楽天モバイルの参入や政府による料金値下げ誘導により、ユーザー一人当たりの通信収益(ARPU)が下がり続けています。また、LINEヤフーは個人情報管理問題で行政指導を受けており、ブランドへの信頼回復が引き続き課題です。


新NISAで選ぶなら——正直な視点で

最も「安心感」を重視するなら東京海上HD。景気に左右されにくい保険ビジネス、海外展開による成長性、積極的な株主還元。三拍子揃っています。バフェットが好む「フロートを持つ保険会社」という観点でも、長期投資に向いています。

「金利上昇の恩恵」を最大限に取りたいならMUFG。日本の金利正常化トレンドが続く間は、メガバンクが最大の受益者です。配当の伸びも明確で、増配が続くシナリオを応援したい人に向いています。

地味に長く持ち続けたいならKDDI。20年以上連続増配という実績は、どんな会社でもできることではありません。通信という「必需品」を収益源にしている安心感と、auエコシステムという成長の余地が同居しています。

高利回りとデジタル成長の両取りをしたいならソフトバンク。配当利回り約5〜6%という高さに加え、PayPayエコシステムと通信インフラの組み合わせは今後も収益源として機能し続ける可能性があります。

「高配当」という言葉だけで銘柄を選ぶのではなく、「なぜ配当を出し続けられるのか」という根拠を理解した上で投資することが大切です。4社はそれぞれ異なるビジネス構造で安定収益を生み出しており、分散して保有するのも一つの考え方です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 新NISAの「つみたて投資枠」で高配当株は買えますか?

A. つみたて投資枠は対象が投資信託・ETFに限られており、個別株は購入できません。高配当株の個別銘柄を購入するには、新NISAの「成長投資枠」(年間240万円まで)を使います。高配当ETF(例:日本高配当株ETFなど)であれば、つみたて枠対象のものも存在します。

Q2. 配当金には税金がかかりますか?新NISAでは非課税になりますか?

A. 通常、配当金には約20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。新NISA口座で保有している株式の配当金は非課税となります。ただし、配当金受取方法を「株式数比例配分方式」に設定していない場合は非課税にならない点に注意が必要です。

Q3. 高配当株は株価が上がりにくいのですか?

A. 一般的に、高成長企業は利益を再投資に回すため配当を抑え、成熟企業は安定利益を配当として還元する傾向があります。ただし東京海上HDのように「株価上昇+増配」を両立してきた事例もあり、「高配当=株価が上がらない」とは一概に言えません。配当と株価成長のバランスで選ぶことが重要です。

Q4. 4社の中で一番リスクが低いのはどれですか?

A. 「リスクが低い」の定義によりますが、業績変動の安定性という点では東京海上HDかKDDIが高く評価されることが多いです。東京海上HDは保険事業の安定したキャッシュフロー、KDDIは20年以上の連続増配という実績がそれを裏付けています。ただしどの銘柄もリスクはゼロではないため、分散保有が基本です。

Q5. 配当利回りが高すぎる株は危険ですか?

A. 一般的に配当利回りが異常に高い(8%以上など)場合は、株価が大きく下落している(業績悪化や将来への不安が反映されている)可能性があります。「高配当の罠(Dividend Trap)」と呼ばれる現象で、増配ではなく株価下落によって利回りが上がっているケースに注意が必要です。「なぜその利回りが出るのか」を確認するには、決算書で見る売上・営業利益率・財務の健全性を合わせてチェックするとよいとされます。


※本記事は企業分析を目的とした内容であり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。 ※投資は自己責任でお願いします。


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