この記事では、株式投資を始めた初心者の方がまず覚えておきたい基本用語を、「注文系・価格系・制度系・心得系」の4つのカテゴリに分けて一覧でやさしく解説します。

「株を始めようと証券口座の取引画面を開いたら、約定・指値・板・出来高……と見慣れない言葉が並んでいて、最初の注文を出す前に手が止まってしまった」——投資を始める多くの人が、ここで一度つまずきます。

用語は一度に全部覚える必要はありません。最初に必要なのは「注文を出すための言葉」と「自分の資産を守るための言葉」だけです。残りは取引画面や決算書を見ながら、少しずつ身につけていけば十分です。この記事は、その「最初に必要な分」を一覧で押さえることを目的としています。

なお本記事は投資の基礎知識を整理するための教育目的の内容です。特定の銘柄や売買タイミングを推奨するものではありません。投資は価格変動などのリスクを伴い、損失が生じる可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。


まず全体像|4カテゴリで覚える

細かい説明に入る前に、この記事で扱う用語の地図を示します。「どのカテゴリの言葉なのか」を先に把握しておくと、頭の中で整理しやすくなります。

カテゴリ ざっくり何の言葉か 主な用語
注文系 株を「売買するとき」に使う 約定・指値・成行・板・出来高
価格系 株の「値段の動き」を表す 始値・終値・ストップ高/安・PER/PBR/ROE・配当利回り
制度系 取引の「ルールや仕組み」 単元・NISA・特定口座
心得系 自分を「守るための考え方」 損切り・分散・長期投資・余裕資金

優先順位をつけるなら、まず注文系と心得系です。この2つが分かれば「注文を出す」「無理をしない」という最低限の行動ができます。価格系と制度系は、実際に取引しながら覚えていきましょう。


1. 注文系の用語|売買するときに使う言葉

最初の注文を出すために、ここだけは押さえておきたいグループです。

約定(やくじょう)

約定とは、株の売買の注文が成立することです。「買い注文を出した」段階ではまだ取引は成立しておらず、買い手と売り手の条件が合致して初めて「約定した」となります。約定して初めて、あなたはその株の保有者(または手放した人)になります。

指値(さしね)注文

指値注文は、「いくらで売買したいか」価格を自分で指定する注文方法です。たとえば「1,000円で買う」と指値を出すと、株価が1,000円以下になったときに約定します。希望より高く買ってしまう心配がない反面、指定した価格に届かなければいつまでも約定しないという側面もあります。

成行(なりゆき)注文

成行注文は、価格を指定せず「いくらでもよいから売買する」注文方法です。そのときの市場価格で即座に約定しやすいのが特長です。確実に売買を成立させたいときに向きますが、想定より不利な価格で約定する可能性がある点に注意が必要です。

指値と成行は、初心者が最初に迷うポイントです。違いを表にまとめます。

項目 指値注文 成行注文
価格の決め方 自分で指定する 指定しない(市場価格)
約定のしやすさ 価格に届かないと約定しない 約定しやすい
向いている場面 価格にこだわりたいとき 確実に売買したいとき
注意点 いつまでも約定しないことがある 想定外の価格で約定することがある

どちらが正解ということはなく、「価格を優先するか、約定を優先するか」という目的の違いで使い分けます。

板(いた)

板とは、その銘柄に対して今どんな注文(買い・売り)がいくらでどれだけ入っているかを一覧で示したものです。「板情報」「気配値」とも呼ばれます。買い注文が厚いか、売り注文が厚いかを見ることで、需給の様子をつかむ材料になります。

出来高(できだか)

出来高は、一定期間に売買が成立した株数のことです。出来高が多いほど取引が活発で、売りたいときに売りやすい(買いたいときに買いやすい)目安になります。逆に出来高が極端に少ない銘柄は、希望のタイミングで売買が成立しにくいことがあります。


2. 価格系の用語|値段の動きを表す言葉

株価のニュースや決算でよく出てくる言葉です。

始値・終値・高値・安値(四本値)

その日(または期間)の値動きを表す4つの基本的な値です。

用語 意味
始値(はじめね) その日の最初に取引が成立した価格
終値(おわりね) その日の最後に取引が成立した価格
高値(たかね) その日の最も高い価格
安値(やすね) その日の最も安い価格

この4つをまとめて「四本値(よんほんね)」と呼びます。チャートのローソク足は、この四本値をもとに描かれています。

ストップ高・ストップ安

株価が1日で動ける幅には上限・下限が設けられています(値幅制限)。その上限まで上がることをストップ高、下限まで下がることをストップ安といいます。急激な価格変動から投資家を守るための仕組みですが、ストップ高・ストップ安が出る銘柄は値動きが荒いことも多く、初心者は慎重に向き合いたい場面です。

PER・PBR・ROE

会社の「株価の割安・割高」や「稼ぐ力」を測るための代表的な指標です。

  • PER(株価収益率):利益から見て株価が割安か割高かを測る
  • PBR(株価純資産倍率):純資産から見て株価が割安か割高かを測る
  • ROE(自己資本利益率):会社が自己資本でどれだけ効率よく稼げているかを測る

3つとも、株を選ぶときに頻繁に登場する重要な指標です。計算式・目安・読み方・使い分け・読み間違いやすい場面までは、PER・PBR・ROEとは?読み方・目安・使い分けを完全網羅でくわしく解説しています。

配当利回り

配当利回りは、株価に対して年間でどれだけ配当を受け取れるかを示す割合です。「年間配当 ÷ 株価 × 100」で計算します。たとえば株価2,000円・年間配当60円なら、配当利回りは3%です。ただし利回りが高い銘柄は、株価が下がった結果として高く見えているケースもあるため、数字だけで判断しないことが大切です。配当を軸にした株の考え方は配当株(高配当株)投資の基本でも整理しています。


3. 制度系の用語|取引のルールと仕組み

取引を始める前に知っておくと、手続きでつまずきにくくなる言葉です。

単元(たんげん)

単元とは、株を売買するときの基本単位です。日本の多くの上場株式は「100株」が1単元で、原則として100株単位で取引します。たとえば株価が3,000円なら、1単元(100株)を買うのに約30万円が必要になる計算です。なお、1株から買える「単元未満株(ミニ株)」サービスを提供している証券会社もあります。

NISA(ニーサ)

NISAは、投資で得た利益(値上がり益・配当)にかかる税金が非課税になる制度です。通常、株や投資信託の利益にはおよそ20%の税金がかかりますが、NISA口座での取引はその対象外になります。初心者がまず活用を検討しやすい制度で、口座開設から最初の1本を買うまでの手順は新NISA|口座開設から最初の1本を買うまでの全手順にまとめています。

特定口座・一般口座

証券口座には主に「特定口座」と「一般口座」があります。違いは税金の手続きです。

口座種類 特徴
特定口座(源泉徴収あり) 証券会社が利益の計算も納税も代行。確定申告が原則不要で初心者向け
特定口座(源泉徴収なし) 証券会社が損益計算書を作成。納税は自分で確定申告
一般口座 損益計算も申告もすべて自分で行う

多くの初心者は、手続きの負担が小さい「特定口座(源泉徴収あり)」を選ぶことが多いとされています。ただし最適な選び方は人によって異なるため、迷う場合は各証券会社の説明も確認してください。


4. 心得系の用語|自分を守るための考え方

最後に、テクニックではなく「無理をしないための言葉」です。注文系と並んで、初心者が最初に身につけたいグループです。

損切り(そんぎり・ロスカット)

損切りは、含み損が出ている株を、損失がこれ以上拡大する前に売って確定させることです。「もう少し待てば戻るはず」と持ち続けた結果、損失が大きく膨らむのは初心者が陥りやすいパターンです。あらかじめ「ここまで下がったら売る」というルールを決めておくことが、リスク管理の基本とされています。

分散(ぶんさん)投資

分散投資は、1つの銘柄や資産に集中せず、複数に分けて投資することです。1社に集中すると、その会社が不調になったときの打撃が大きくなります。銘柄・業種・地域・時間(買うタイミング)を分けることで、特定の要因による値下がりの影響を和らげる狙いがあります。

長期投資

長期投資は、短期間の値動きで売買を繰り返すのではなく、数年〜数十年の時間軸で資産を保有し続ける考え方です。短期の上下に一喜一憂しにくく、初心者が取り組みやすいスタイルの一つとされています。ただし「長く持てば必ず増える」わけではなく、投資先の選定は引き続き重要です。

余裕資金(よゆうしきん)

余裕資金は、当面の生活費や近い将来に使う予定のお金を除いた、なくなっても生活に支障が出ないお金のことです。株価は上下するため、生活費や教育費など「使う予定のあるお金」での投資は避けるのが基本です。投資は、まず余裕資金の範囲で始めることが、精神的にも続けやすくなるポイントです。


用語に慣れたら次に読みたい記事

基本用語のイメージがつかめたら、次は実際に「会社を選ぶ・取引する」ための知識に進むと理解が深まります。


まとめ|まずはこの順番で覚える

最後に、初心者が用語を覚えるときの優先順位を整理します。

  1. 注文系(約定・指値・成行・板・出来高):最初の注文を出すために必須
  2. 心得系(損切り・分散・長期・余裕資金):自分の資産を守るために必須
  3. 価格系(始値終値・ストップ高安・PER/PBR/ROE・配当利回り):銘柄を選ぶときに役立つ
  4. 制度系(単元・NISA・特定口座):手続きでつまずかないために知っておく

用語は「覚えてから始める」より「使いながら覚える」ほうが定着します。まずは注文系と心得系だけを頭に入れて、少額・余裕資金の範囲で取引画面に触れてみるのが、もっとも近道かもしれません。

なお、本記事の内容は投資の基礎知識を整理するための一般的な解説であり、特定の金融商品や売買タイミングを推奨するものではありません。株式投資には価格変動をはじめとするリスクがあり、損失が生じる可能性があります。最終的な投資判断は、ご自身で情報を確認したうえで自己責任で行ってください。